第5回「クラブは、なぜ存在するのか」軽井沢のコース全体を、そのクラブが支配しているような感覚。あの空気は今でも忘れられない。

Dear Wonderful Footgolf
Dear Wonderful Footgolf TKMASA INSIGHT

クラブは、なぜ存在するのか

文 / TKmasa(大阪フットゴルフ協会)

フットゴルフは個人競技だ。
でも、その強さはひとりでは育たない。

現在、日本にはいくつものフットゴルフクラブが存在している。

Jリーグクラブが保持するクラブ。
チーム戦を見据えたクラブ。
仲間同士で集まったクラブ。
エンジョイを目的としたコミュニティ。

どれも正解で、どれも間違いではない。

ただ、その中で私は一度立ち止まって考えたくなる。

クラブとは、そもそも何のために存在するのか。

クラブの存在意義

フットゴルフは個人競技だ。

しかし、その強さは決して一人だけで作られるものではない。

情報。
経験。
仲間。
競技を続けるための環境。

それらを共有するために、クラブは存在しているのだと思う。

まだ若いこのスポーツでは、情報が分散している。

ルール、戦術、コース攻略、遠征の知識。
そういったものは、クラブに入ることで一気に流れ込んでくる。

また、この競技は想像以上にお金がかかる。

遠征費、エントリー費、ユニフォーム代。
継続するには、それなりの負担がある。

クラブがその一部を支えることで、選手はより競技に集中できる。

そして今、FIFG(国際フットゴルフ連盟)が主催するクラブワールドトロフィーでは、世界一のクラブチームを決める戦いも始まっている。

クラブは、ただの集まりではない。
世界と戦うための単位にもなり始めている。

クラブは何をする場所なのか

何を隠そう、私自身も活動初期はクラブに所属していた。

関西を拠点とするクラブだった。

入った理由はシンプルだ。

情報が欲しかった。

当時は今ほど情報が整理されておらず、大会のことも、日本代表のことも、海外の動向も、自分から探しにいかなければなかなか見つからなかった。

だから私はクラブに入った。

そして今、フットゴルフを続ける中で思う。

クラブには、クラブだからこそ果たせる役割がある。

私なりに考えるその役割は、大きく三つある。

① 活動を支援すること

まず一つ目は、選手の活動を支援することだ。

フットゴルフはまだまだ情報が集まりにくい競技である。

大会情報、日本代表選考、海外大会の動向、競技ルールの変更など、自分一人で追い続けるのは簡単ではない。

だからこそ、クラブが情報を集め、整理し、選手へ共有する価値がある。

また、競技を続けるためには決して少なくないお金も必要になる。

エントリーフィー、交通費、宿泊費、ユニフォーム代。

選手が競技に集中できるよう、活動資金をサポートすることもクラブの重要な役割だと思う。

② 選手を育てること

二つ目は、技術だけではなく、競技者としての在り方を伝えることだ。

フットゴルフには、サッカーやゴルフのような体系化された教本がまだほとんど存在しない。

先人たちは試行錯誤を繰り返しながら、技術やマネジメント、コース攻略、そして競技者としての考え方を積み上げてきた。

ルールやマナーも同じである。

初めて大会に参加する選手の多くは、アテストの流れやプレー中の立ち位置、配慮などを知らない。

知らないこと自体は悪いことではない。

だからこそクラブが、その競技の文化や作法を伝えていく必要がある。

競技レベルを上げることだけではなく、周囲から信頼されるプレイヤーを育てることも、クラブの大切な役割だと思う。

③ 新しい仲間を増やすこと

三つ目は、新しい競技者を増やすことだ。

どんな競技でも、最初の一歩は不安である。

大会に出てみたいけれど、自分だけで参加して大丈夫なのか。
ルールは分かるのか。
知り合いはいるのか。

そんな不安を抱えている人は少なくない。

クラブには、その不安を安心に変える力がある。

仲間がいて、相談できる人がいて、一緒に大会へ向かう人がいる。

それだけで競技へのハードルは大きく下がる。

一人では踏み出せなかった人が、クラブをきっかけに競技者になる。

私は、それもクラブの大きな価値だと思っている。

情報を届けること。
選手を育てること。
そして仲間を増やすこと。

クラブとは、ただ同じユニフォームを着る集団ではない。

競技を続けやすくし、競技を広げ、競技文化を次の世代へ繋いでいく場所なのだと思う。

ブロミスタ
2018-19ごろ関西を拠点に活動していたブロミスタ。まだチームは存在している。

理想のフットゴルフコミュニティ

友遊倶楽部というクラブがある。

いわゆる、フットゴルフコミュニティだ。

活動日を設けて、参加できるメンバーが集まり、和気あいあいとプレーする。

そこには、初めてフットゴルフをする人もいる。

とても入りやすい空気がある。

そして、その先には「もっと上手くなりたい」という人のためのステージも用意されている。

この構造が、とてもいい。

入口があり、広がりがあり、そして上を目指せる。

私は、CLUB OFGAもこういうクラブにしたいと思っている。

私が見た、最強のクラブ

忘れられないクラブがあった。

2018年頃、フットゴルフ界を圧倒していたクラブ。

ガナドールフットゴルフクラブ。

今はもう存在しない。

でも、あのときの光景は、今でも鮮明に残っている。

2018シーズン、ツアーファイナル。

チーム全体でウォーミングアップをし、ミーティングを行い、試合に入る。

個人競技のはずなのに、そこには完全に“チーム”があった。

ガナドールのある選手がホールインワンを決めた瞬間、コースの空気が揺れた気がした。

私はその瞬間を直接見ていない。

でも、「その瞬間」を覚えている。

それくらい、空気が変わった。

別の組では、ガナドールの選手同士が声を掛け合い、励まし合いながらプレーしていた。

その相乗効果で、プレーは明らかに良くなっていく。

個人戦なのに、団体戦のような空気だった。

そして、その大会の優勝者もまたガナドールの選手だった。

軽井沢のコース全体を、そのクラブが支配しているような感覚。

あの空気は、今でも忘れられない。

2018シーズンは、完全にガナドールのシーズンであった。

私が鮮明に覚えている優勝決定場面も、またこのシーズンのガナドールの選手のシーンだった。

この話はまた別の機会に。

クラブがつくるもの

私は今、クラブには所属していない。

個人として活動している。

それでも思う。

もし競技で“本当に強い”を目指すなら、あのようなクラブは必要だ。

クラブは、強さを増幅させる装置だ。

個の力を、チームで引き上げる。

そしてもう一つ。

クラブは、空気をつくる。

プレーの質だけではない。
振る舞い、会話、佇まい。

それらすべてが重なって、「このスポーツの雰囲気」を形づくっていく。

クラブが文化をつくる。

それは大げさな話ではない。

私は実際に見てきた。

ひとつのクラブが大会の空気を変え、選手の振る舞いを変え、そのスポーツの景色を変えていく瞬間を。

フットゴルフはまだ若い。

だからこそ、どんなクラブをつくるのかが大切なのだと思う。

強い選手を育てるためだけではない。

強い文化を残すために。

その積み重ねが、いつかフットゴルフというスポーツの未来になる。

Dear Wonderful Footgolf

このスポーツには、まだ語るべき物語がある。

TKmasa

TKmasa

大阪フットゴルフ協会(OFGA)所属。 2018年より競技を開始。日本代表経験あり。
競技者として活動する一方で、関西地域での普及活動や大会運営にも携わる。板倉4連戦を終え、束の間の休息。月末には北海道へ。

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