第6回「日本というチームをつくる」それぞれが同じ未来を見ながら、「JAPAN FOOTGOLF WAY」を創っていく。

複数年に一度、チームになるのではなく
Dear Wonderful Footgolf TKMASA INSIGHT

日本というチームをつくる

団体戦で世界一になるための「JAPAN FOOTGOLF WAY」

文 / TKmasa(大阪フットゴルフ協会)

世界大会の直前に集まり、
そのときだけ日本代表になる。

それだけでは、世界一には届かない。

フットゴルフワールドチャンピオンシップが終わった。

団体戦における日本代表の成績は、一般カテゴリーがベスト16、シニアカテゴリーがベスト16、女子カテゴリーが3位。

女子日本代表は世界の舞台で表彰台に立ち、日本が団体戦でも世界と戦えることをあらためて証明した。

一方で、すべてのカテゴリーが常に優勝を争う国になるためには、今回の結果だけを振り返るのではなく、もっと長い時間軸で日本の団体戦を考える必要がある。

次の国際大会だけを見るのではない。

10年後。
20年後。

その未来から逆算して、今から何を積み上げるのか。

大会が近づいてから代表選手を集め、そのときだけ一つのチームをつくる。

それだけでは、日本としての経験も戦術も文化も積み上がっていかない。

複数年に一度、チームになるのではなく。
日常から、日本というチームをつくる。

私は、そこから始める必要があると思っている。

ブロミスタ
個人スポーツでまとまるのは難しいのか

ストロークプレーの強さと、団体戦の強さ

現在、日本代表の団体戦メンバーは、個人ストロークプレーの成績やジャパンランキングを主軸として選考されている。

年間を通じて安定した成績を残した選手が評価されることは、とても大切である。

ストロークプレーのランキングは、選手の実力を測るうえで欠かすことのできない指標だ。

しかし、団体戦で行われるのはマッチプレーである。

ストロークプレーでは、18ホールの合計スコアを一打でも少なくすることが求められる。

一方、マッチプレーでは、そのホールで相手より少ない打数でカップインすれば勝ちとなる。

一つのホールで大きく崩れても、基本的に失うのはその一つのホールだけである。

反対に、相手の状況によっては、普段なら選ばないような積極的なルートを選ぶ必要もある。

求められる判断。
リスクの取り方。
相手へのプレッシャー。
試合の流れを読む力。

ストロークプレーとマッチプレーでは、競技の性質が異なる。

さらに、団体戦にはシングルスだけでなく、フォアサムやフォアボールがある。

個人として強い選手が、そのままペア競技でも最適な選手になるとは限らない。

逆に、個人ランキングでは代表圏外であっても、マッチプレーに強い選手、ペア競技で力を発揮する選手、チーム全体の力を引き上げられる選手がいるかもしれない。

だからこそ、一度立ち止まって考える必要がある。

個人ストロークプレーの順位だけで、
団体戦で最も勝てるチームをつくれるのだろうか。

強い選手を選ぶことと、強いチームをつくること

これは、ランキングによる選考を否定する話ではない。

客観的な数字による選考は必要であり、年間を通して結果を残した選手が評価される仕組みは守られるべきだと思う。

ただし、団体戦で世界一を目指すのであれば、そこに別の評価軸も加える必要があるのではないだろうか。

ゴルフの代表的な団体戦では、ランキングなどによる自動選出だけでなく、キャプテンがチーム構成や選手同士の相性を考えて選ぶ枠が存在する。

重要なのは、個人順位の上位者を順番に並べることではない。

その大会で勝つために、どのような選手が必要なのか。

どの選手とどの選手を組み合わせれば、それぞれの長所を最大限に生かせるのか。

相手国やコースの特徴に対して、どのようなチームを編成するのか。

世界で勝つためのチーム像から逆算し、選手を選ぶ必要がある。

例えば、代表選考の一部をランキングによる自動選出とし、残りを団体戦への適性やチーム構成から選ぶ方法も考えられる。

国内でマッチプレーやペア競技を実施し、その結果や内容を選考材料に加えることもできる。

選手の技術だけではなく、プレースタイル、精神面、コミュニケーション、ペアとの相性まで継続的に記録していくことも必要になる。

代表選考は、単に強い選手を選ぶ作業ではない。

世界で勝てるチームを設計する作業である。

プレーする選手が、チーム全体を指揮できるのか

私は、団体戦の日本代表には、専任のヘッドコーチが必要だと感じている。

選手自身がメンバー構成やペアリングを考え、その選手が自ら試合にも出場する。

限られた人員の中では、そうせざるを得ない事情もあるだろう。

しかし、世界大会という極度の緊張感の中で、自分の試合に集中しながら、同時にチーム全体を客観的に見ることは簡単ではない。

自分のコンディションを整える。

対戦相手を分析する。

目の前の一打に集中する。

その一方で、他のグループの状況を把握し、選手の疲労や精神状態を見極め、次の組み合わせまで考えなければならない。

選手として世界と戦いながら、監督としてチーム全体を動かす。

その二つを同時に高いレベルで行うことには、どうしても限界がある。

ヘッドコーチは、大会期間中だけベンチに立つ人ではない。

平時から国内選手を観察し、各選手の特徴や適性を把握する。

マッチプレーの内容を分析し、ペアの組み合わせを検証する。

日本としての戦術や共通認識をつくり、代表候補選手へ伝える。

大会後には、成功と失敗を分析し、その知識を次の代表チームへ引き継ぐ。

一つの大会を勝つだけではなく、日本の団体戦を継続的に強くすること。

それが、ヘッドコーチに求められる役割だと思う。

日本として、どのような選手を育てるのか

代表大会の直前になってから、誰がシングルスに向いているのか、誰と誰を組ませるのかを考えていては遅い。

まず、日本として団体戦でどのような選手を必要としているのかを言語化する必要がある。

シングルスに向いている選手とは、どのような選手なのか。

フォアサムに向いている選手とは、どのような選手なのか。

フォアボールでは、どのような能力を持つ選手同士を組み合わせるのか。

その特徴を整理し、日常の大会や練習、選手育成へ落とし込んでいく。

シングルスに必要なもの

シングルスでは、攻める姿勢を持ちながら、大きなミスが少ない選手が求められる。

相手がミスをした後には、無理をせず確実にホールを取る。

相手が好位置につけたときには、リスクを負ってでも攻める。

先にリードしたときと、追いかける展開では、同じホールでも選ぶべきプレーが変わる。

劣勢になっても感情を乱さず、次のホールへ切り替えられる精神力も必要になる。

平均スコアだけでは測ることのできない、マッチプレー特有の強さがある。

その力をどのように見つけ、どのように育てるのか。

それも日本代表強化の大切なミッションだと思う。

フォアサムを、三人で攻略する

フォアサムでは、二人の選手が一つのボールを交互にプレーする。

フットゴルフの団体戦では、各ホールのティーキックをどちらが蹴るか、その都度選択できる。

つまり、単純に奇数ホールと偶数ホールでティーキッカーを固定する競技ではない。

ホールの距離。
左右の形状。
高低差。
ハザードの位置。
風向き。
その日の選手の状態。

それらを踏まえ、毎ホール最適なティーキッカーを選択できる。

だからこそ、フォアサムには高度な戦術設計が必要になる。

戦術の組み立て方にも、複数の考え方がある。

カップインから逆算し、最後のパットをどちらの選手に任せたいのかを考える方法。

ティーキックから順番に積み上げ、次の一打をどの選手に残すのかを考える方法。

パットが得意な選手に、勝負となる距離のパットを蹴らせる。

左利きの選手が蹴りやすい角度を残す。

アプローチの得意な選手に、得意な距離やラインを残す。

飛距離のある選手にティーキックを任せることが、必ずしも正解とは限らない。

次の一打、その次の一打まで見据えて、二人の能力を一つのボールに重ねていく必要がある。

そして私は、フォアサムを単純な二人だけの競技として考えなくてもよいと思っている。

実際に試合へ出場するのは二人であっても、準備段階では三人で一つの攻略ユニットをつくる。

三人目を、単なる控えや、けが人が出たときの交代要員にしない。

例えば、パー3が多い組み合わせでは、パットや短いアプローチが得意な選手を起用する。

距離のあるパー5が重要になる組み合わせでは、飛距離を出せる選手を加える。

左足で蹴ることが有利になるホールが多ければ、左利きの選手を起用する。

三人の中から、コースや相手に対して最適な二人を選ぶ。

そして、出場していない選手も攻略や分析に参加する。

ブロミスタ
ペア戦はいかに技術よりコミュニケーションが大事な要因
控え選手をつくるのではない。
三人全員で、一つのマッチを戦う。

そうした考え方があってもよいと思う。

フォアボールには、さらに多くの可能性がある

フォアボールでは、ペアの二人がそれぞれ自分のボールをプレーし、良い方のスコアがチームのスコアになる。

二人が別々のボールをプレーできる分、戦術の幅はさらに広い。

飛距離のある選手と、安定してパーを取れる選手を組み合わせる。

一人が安全な位置を確保した後に、もう一人が積極的なルートを選ぶ。

一人が良いアプローチを決めれば、もう一人は直接カップを狙う。

ただし、最初から一人を守備役、一人を攻撃役と固定するだけでは、相手に十分なプレッシャーを与えられないこともある。

二人ともしっかりと攻める。

そのうえで、ホールの途中から状況に応じて役割を変えていく。

カップ周りでは、どちらの選手に最後の勝負を任せるのか。

どちらが先にプレーし、どちらを後に残すのか。

相手のボール位置や残り距離を見ながら、瞬時に判断する必要がある。

場合によっては、10メートル近い距離であっても先にプレーし、相手へプレッシャーをかけるという判断があってもよい。

ストロークプレーで使われる「お先に」の感覚を、そのままマッチプレーに持ち込む必要はない。

先にカップインすることによって、相手の心理やプレー選択を変えられる可能性がある。

フォアボールは、二人分の個人技を足し算する競技ではない。

二人のボールを使って、相手の判断と心理へ働きかける競技でもある。

ミスを責めない。ミスを謝り続けない

戦術と同じくらい重要なのが、チーム内の共通認識である。

私が特に必要だと思うのは、二つの約束だ。

仲間のミスを、絶対に責めない。
自分のミスを、必要以上に謝らない。

ペア競技では、自分のミスによって、パートナーに難しいキックを残してしまうことがある。

そのたびに「ごめん」と謝り続ければ、蹴った本人だけでなく、パートナーもそのミスを意識し続けることになる。

謝ることで区切りをつけられる場合もある。

しかし、何度も謝罪を重ねれば、チーム全体が失敗した一打に引っ張られてしまう。

必要なのは、責任の追及ではない。

次の一打を、どう成功させるかである。

「大丈夫」
「ここからいける」
「次を決めよう」

そう声をかけ、すぐに次のプレーへ意識を向ける。

ミスをした本人も、謝罪ではなく、状況の共有と次の一打への切り替えを行う。

これは単なる優しさの話ではない。

チームのパフォーマンスを落とさないための、明確なメンタル戦術である。

大会直前に確認するだけではなく、国内合宿や練習試合の段階から繰り返し実践する必要がある。

ミスが起きたときに自然に切り替えられる状態を、日常からつくっておく。

その積み重ねが、世界大会の極限状態でチームを支える。

ブロミスタ
フットゴルフはメンタルスポーツ。良いメンタルの方が良いパフォーマンスを引き出す

誰が決めるのかを、決めておく

チームでは、全員が自由に意見を言えることが大切である。

しかし、試合中に意見が分かれたとき、最終的に誰が判断するのかが決まっていなければ、迷いが生まれる。

団体戦では、その迷いが一打の遅れや決断への不安につながる。

だからこそ、役割と責任を明確にする必要がある。

ヘッドコーチ

日本代表全体の方針を決め、選手選考やチーム編成、戦術設計を統括する。

チームキャプテン

選手を代表し、チーム全体をまとめる。ヘッドコーチと選手の間をつなぎ、日本代表としての姿勢や空気をつくる。

ゲームキャプテン

試合当日の状況を把握し、出場グループや試合の流れを統率する。

グループリーダー

シングルスやペア、攻略ユニットの中で最終的な判断を担う。

意見が分かれた場合には、最後はグループリーダーが決める。

その判断が結果的に失敗したとしても、一人だけに責任を負わせるのではなく、チームとして受け入れる。

責任者を決めることは、失敗した人を探すためではない。

迷いを減らし、全員が思い切ってプレーするためである。

大会ごとに、ゼロから始めない

国際大会が開催されるたびに、チームを率いる人が変わり、考え方が変わり、戦い方が変わる。

その都度ゼロからチームづくりを始めていれば、日本としての経験は積み上がらない。

必要なのは、今回の代表チームだけが使う戦術ではない。

次回、その次の国際大会へと受け継がれていく、日本独自の団体戦モデルである。

私はそれを、「JAPAN FOOTGOLF WAY」と呼びたい。

日本の選手が持つ技術や規律、献身性を生かしながら、世界で勝つための戦い方をつくる。

それは、すでに完成されたものではない。

これまでの国際大会で得た経験を持ち寄り、成功も失敗も検証しながら、これから日本全体で創り上げていくものである。

どのような選手を、団体戦に適した選手と定義するのか。

シングルス、フォアサム、フォアボールをどのように戦うのか。

どのようなデータを集め、どのような基準でペアを組み合わせるのか。

大会中の役割や意思決定を、どのように設計するのか。

試合後の成功と失敗を、どのように記録し、次の世代へ残すのか。

これらを日本として継続的に検討し、共通言語にしていく。

その積み重ねが、やがて日本独自の団体戦文化となる。

日本サッカー界では、世界大会での目標から逆算し、トップ代表だけでなく、育成年代、指導者養成、普及までをつなげようとしている。

トップチームだけを一時的に強くするのではない。

どのような競技を目指し、どのような選手や指導者を育てるのか。

長期的な方向性を共有し、時間をかけて積み上げていく。

フットゴルフにも、同じような視点が必要だと思う。

団体戦で勝つための考え方を、代表選手だけのものにしない。

国内ツアー。
地域大会。
クラブ。
育成。
指導者。
競技を支える人たち。

それぞれが同じ未来を見ながら、「JAPAN FOOTGOLF WAY」を創っていく。

国内大会でも、マッチプレーやペア競技を経験できる機会を増やす。

若い選手や競技を始めたばかりの選手も、個人のスコアだけではなく、仲間と協力して勝つ方法を学ぶ。

そうして初めて、日本代表の団体戦は、一つの大会だけで完結しないものになる。

誰かが完成させるのを待つのではない。

大会を重ね、世代を越え、日本のフットゴルフに関わるすべての人で創り続けていく。

それが、日本が世界で勝つための道になる。

目標を、言葉として掲げる

私は、日本フットゴルフ協会の長期的なミッションとして、一つの明確な目標を掲げてもよいと思っている。

ワールドチャンピオンシップ団体戦。
全カテゴリー優勝。

次の大会ですぐに、すべてのカテゴリーが優勝しなければならないという意味ではない。

10年後、20年後を見据え、日本がすべてのカテゴリーで継続的に優勝を争える国になる。

そのために、今から何を始めるのかを考えるということである。

目標を掲げれば、代表選考の方法も変わる。

国内大会のあり方も変わる。

選手育成や指導者育成に必要なものも見えてくる。

世界大会後の検証も、単なる結果への感想ではなく、目標に対して何が足りなかったのかという議論になる。

そして、選手、協会、地域団体、クラブ、競技を支える人たちが、同じ方向を見ることができる。

これは、私の答えではない

ここまで書いてきたことは、団体戦について、現在の私が考えていることにすぎない。

すべてが正しいとは思っていない。

実際に日本代表として戦った選手には、選手にしか分からない感覚がある。

チームを率いた人には、外からは見えない苦労や判断がある。

シングルス、フォアサム、フォアボールについても、選手によって異なる考え方や戦術があるはずだ。

だからこそ、この文章が答えになる必要はない。

むしろ、この文章をきっかけに、多くの選手や関係者から、さまざまな意見が出てくることの方が大切だと思う。

自分なら、どのような代表選考をするのか。

フォアサムでは、どのようにペアやユニットを組むのか。

フォアボールでは、どのような約束をつくるのか。

日本代表には、どのような監督やスタッフが必要なのか。

どのような選手を、今から育てていくべきなのか。

その議論が国内のさまざまな場所で行われ、言葉として記録され、次の世代へ受け継がれていく。

団体戦は、代表に選ばれた数人だけのものではない。

日本のフットゴルフに関わる全員で、強くしていくものだと思う。

複数年に一度だけ、日の丸の下に集まるのではない。

日々の大会、練習、発信、育成。
そのすべてをつなぎ、日本という一つのチームをつくる。

その積み重ねの先に、すべてのカテゴリーで世界一を争う日本がある。

私は、そう信じている。

Dear Wonderful Footgolf

このスポーツには、まだ語るべき未来がある。

TKmasa

TKmasa

大阪フットゴルフ協会(OFGA)所属。 2018年より競技を開始。日本代表経験あり。
競技者として活動する一方で、関西地域での普及活動や大会運営にも携わる。北海道遠征を終え、気が抜けています。9月の大会までに切り替えます。

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